行書は 楷書 できちんと分けて書いていた線を続けたり、次の字につながり やすくするために変化させたりして、楷書を書くときよりもずっと速く書くことができます。 しかも楷書を読める人は、どういうわけか、たいていの行書の字は読めるようになっています。
速く書くことができて読みやすい行書は、私達の日常生活でもっともよく使われている書体です。
行書体はひとつの文字に ひとつ以上の形 があります。どの形を使うかは気分次第。 自分のお気に入りの形を持っていると便利です。
行書は楷書に 9つの変化 を加えると、簡単にきれいに書くことができます。
行書で使う線はほとんど曲線です。 横線はかぶせるような曲線。 縦画 (楷書なら90度の垂直線、最後にスーッと抜くものは除く)は左にややふくらませた曲線。 最後にスーッと 抜く縦画 は、7をほぼまっすぐ、3を左へカーブさせる。 こうした行書独特のやわらかい曲線を行線といいます。
楷書ではつけるべき線はきちんとつけるのがきまりでしたが、行書ではあけて、風通しよくすると、すっきり見えます。
例えば、楷書の「口」では縦画(1画目)に横画(2画目)がついていますが、行書ではあけて書きます。
このときのあき具合は、縦画の書き始めの点と横画の書き始めの点を結んだときに45度の斜線が引けるようにあけます。
楷書でもある線から次の線へは、実際に書いたりはしませんが、つながっています( 空画 )。
行書ではこの見えない連絡線を実際に書いてしまいます。つまり線と線が実際に、連絡線によってつながります。
ただし、すべての線を続けて書くとぐちゃぐちゃになって、読めなくなりますので、続けるのは、せいぜい字の最後の2画ぐらい、 あるいは、一字を構成する各部分の最後の2画ぐらいを目安にしたほうが無難です。 ペン字ではこの画と画の間の連絡線も、他の部分と同様の筆圧、同じインクの濃さで書きます。
楷書では縦画が90度のものと70〜75度の2種類がありましたね。
90度の場合には、(a)横画から縦画へは折れずにカーブして方向を変え、 縦画は左へややふくらませた曲線を書きます。
70〜75度の場合には、(b)横画から縦画へ移るときに、きちんと止めて折り、縦線は右へふくらませた曲線にします。
三折の線も、カクカクと折らずにやわらかくカーブさせて方向を変えます。
「木」は楷書では、横線、縦線の交差する一点から、左ばらいと右ばらいが出ていましたが、行書ではわざと、左ばらいと 右ばらいをこの交差点からずれたところから書きます。こうすることで窮屈な感じがなくなるのです。
はねもはらいも曲線を使って書けば、それだけで行書になりますが、形を変化させることもあります。 真上にはね上げるものをはね上げずに、左下へはねたり、45度にはね上げるものを左下に向かってはらったり (「曲線を使う」の最後をスーッと抜く縦画)して、次の字に続けやすくします。また、はらいを止めたりすることもあります。
行書の形はひとつの字にひとつだけではありません。例えば、曲線を使っただけでも、行書体になります。 今まで見てきた(1)〜(8)までの特徴をどの程度、書体に加えるかによって、いろいろなバリエーションが生まれます。 そのさまざまなバリエーションは大きく「楷行体」と「本行体」の2種類に分けられます。 楷行体は、楷書の点画を曲線で書いたもので、楷書に近い行書です。 本行体は行書に独特な形で、楷書とは点画の構成が異なっています。本行体は改めて覚えなければなりませんが、 覚えてしまうと、とても速く書けて、カッコよく見えます。 どちらを使うかは、時と場合と気分です。両方を取り混ぜて使っても、全然かまいません。